入れ歯
入れ歯
歯を失った場合の治療法には、差し歯やブリッジ、インプラントなどのほかに「入れ歯治療」があります。入れ歯には、総入れ歯や部分入れ歯など様々な種類があり、材質や構造も多様で、患者様一人ひとりのご希望やライフスタイルに合わせて製作することができます。
入れ歯は、「食事を味わう」「噛みしめる」「喋る」「笑う」などの行動を支える体の一部となり、健やかな毎日を送るためには、お口にフィットする入れ歯を手に入れることがとても大切です。
また当院での入れ歯は、『義歯』として無くなってしまった歯の機能をリハビリテーションしていくものだと考えております。
例えば、足が無くなってしまった方が『義足』を使うことを考えてみてください。装着した直後から100m全力で走ってください。などできる訳もなく、まずは立ち上がってみましょう。次は一歩歩いてみましょう。といった具合に少しずつステップを踏みながらリハビリしながらできることを増やしていくものです。
これは入れ歯(義歯)でも全く同じです。
入れ歯を使ってお食事するのは義足で100m走るのと同じなのです。まずはお口の中にいれるところから、次にしゃべったり入れ歯を入れたまま日常生活を送ってもらう、それができたら柔らかい食べ物(ご飯や豆腐など)、そして、入れ歯で食べるのが難しい硬めのお肉やパンを食べてみましょう。と少しずつできること(元々の歯の機能)を増やして回復していくお手伝いをしていけたらなと、考えております。
入れ歯には大きく分けて「総入れ歯」と「部分入れ歯」の2種類があります。
総入れ歯
ほとんどの歯を失った場合に使用するもので、上下いずれかの顎(あご)全体を覆うタイプの入れ歯です。顎と接着する部分(床)と人工歯で構成されています。
保険診療内で製作する場合、床は合成樹脂ですが、自費診療では素材の選択肢が増えて、チタンなどの金属を使用したりして製作することができます。床にチタンを使用することで、強度UP・薄く製作できる・温度が伝わりやすい・(意外かもれしませんが)軽くなるといったメリットがあります。
部分入れ歯
一部の歯が無くなっている場合に使用します。残っている歯と部分入れ歯で噛むという機能を回復するように設計されています。欠損部分の両隣の天然歯に、金属のバネ(クラスプ)をかけて固定します。保険診療ではバネ部分が金属製になりますが、金属を使用せずに自然な見た目に仕上げる設計にすることも自費診療では可能です。
入れ歯は保険診療の範囲内で製作できるものと自費診療によるものがあります。
保険診療の入れ歯は、保険適用内で決められた素材や製作工程で製作するため、費用を安く抑えることができるというメリットがあります。逆にそれが足かせになり患者様ごとのニーズに合わせた自由な設計ができない面があります。ただ保険診療による入れ歯は基本的な設計をある程度は満たしているので、入れ歯の使用に慣れていない方の場合は保険診療の入れ歯から使ってみることをお勧めいたします。
一方、自費診療の入れ歯は、保険診療の基本的な設計の入れ歯よりも、見た目の自然さ、お口へのフィット感などの患者様それぞれのニーズを重視して製作するため、保険適用外の高価な素材を使用し、製作工程も保険の入れ歯より複雑な工程になります。
入れ歯使用歴が長く、現状お使いの入れ歯よりも具体的な審美性や機能性などの求めるものがあれば、精密に製作する自費診療の入れ歯をおすすめします。
長所
短所
長所
短所
患者様一人ひとりに適した入れ歯を製作するため、ご要望や口内のお悩み、ライフスタイルなどを詳細にヒアリングさせていただき、お口の状態を検査して、治療計画を立てていきます。
大まかに型取りをして、その方の顎や歯並びに合わせた完全オーダーメードの個人トレーをつくります。保険診療や欠損部位(無くなった歯の数)が少ない場合はこの工程を飛ばして最終納期を早めることもあります。
②で製作した個人トレーを用いて再度精密な型を取ります。(当たり前のように聞こえると思いますが)上の顎と下の顎の2つの型取りを行います。この型を使って上の顎と下の顎の2つの石膏模型を製作していきます。
③で採得した石膏模型から「咬合床」と呼ばれる土台をつくります。この咬合床を使って噛み合わせ位置を採取します。これを咬合採得といいます。上の顎と下の顎との2つに分かれてしまった上下顎の石膏模型の位置関係を1つに決めていきます。
人工歯を排列し、ロウで仮入れ歯を製作します。入れ歯の高さの再現性、見た目やフィット感などを確認します。
必要に応じて仮入れ歯を調整して、本入れ歯用の素材で製作します。
完成した入れ歯を患者様のお口に合わせていきます。
入れ歯は、製作過程で石膏模型を作ります。この石膏模型と実際のお口の中の粘膜では、粘膜が柔らかく変動するため細かいレベルでは全く同じではありません。なので、最後の細かい調整は、実際にお口入れてもらったり、しゃべってもらったり、お食事をしてもらいながら調整していきます。個人差はありますが、3〜4回程度は調整が必要になります。
一般的には3〜5年での修理や取り換えが目安とされています。
入れ歯が緩くなったり、噛み合わせがすり減って平らになってきた時はご相談ください。
稀に10年以上ひとつの入れ歯を人工の歯が擦れきれるまで愛用される方がおられますが、その方の固有のかみ合わせの高さと入れ歯の高さが大きくズレています(人工の歯が擦れきれた分、入れ歯の高さが低くなったため)。あまりに急激に高さを変えると本来のかみ合わせの高さだったとしても高すぎて使いにくい入れ歯になってしまいます。なので、何度かに分けて半年ごとに入れ歯を作り直しながら徐々に本来のかみ合わせの高さまで入れ歯を高くしていくことがございます。
なので、どんなに長くても5年に一度は新しい入れ歯に取り換えることをお勧めいたします。
定期的な検診を行い、入れ歯と入れ歯の金具がかかっている歯をお手入れすることが大切です。
入れ歯を装着すると、お口の中には汚れが付きやすくなります。
食後は入れ歯を外し洗浄し、御自身の歯のブラッシングを行い、清潔なお口の中を維持してください。